2011年12月11日日曜日

密閉型フルレンジ一発スピーカー製作

  フルレンジ一発の特徴  



 フルレンジ一発とは、1個のフルレンジ型ユニットを使って、人間の可聴域およそ20Hz~20kHz内の領域を再生しようとするスピーカーシステムのことです。


 このフルレンジ一発では、超低音域から超高音域までの高忠実度再生は不可能。しかし、パーソナルな耳あたりの良い「いい音」と感じる感性レベルの音質を追求するなら、フルレンジ一発でも良いモノがあると思います。


 フルレンジ型ユニットの特性と密閉型エンクロージャーの特徴を踏まえ、エンクロージャーの構造や形状、スピーカーのセッテイング、ユニットのチューニングをトータルに考え、スピーカーシステムの設計に反映させることで、耳あたりの良い「いい音」と聴けるような音にまとめ上げてことは、出来ると考えます。


 言い方を代えると、フルレンジ一発の音としては、「上等。よく出来た音。うるさくない。ちょっとした2Wayや3Way(LCネットワーク方式)の音質を凌ぐ。」いい音は、期待できると考えます。


でも、くどいようですが超低音域から超高音域までの高忠実度再生は、1個のユニットでは不可能と思います。


 まずは、フルレンジユニットならびにそれを使ったスピーカーシステムのメリットとデメリットを取り上げます。


 フルレンジ型のメッリトとデメリット 



【メリット】

全帯域の音(フルレンジの音)が一箇所の音源から放射されるため、点音源となる。ただし、密閉型のみとなります。


音楽で重要な100Hz~4kHz帯域の位相の変化がなめらかなのでステレオ再生での定位感が良く、加えて、再生音のボーカルが自然な感じで聴こえる。


LCネットワーク、アッテネーターが不要なため、音声電気信号の劣化が無いので、それによる音質の劣化が無い。

コストパフォーマンスに優れている。


【デメリット】

再生可能領域が狭い。ユニットの口径にもよりますが、再生帯域50Hz~18kHz位。

低音域限界付近は混変調周波数歪、中高音から高音域付近は分割振動による歪が増加するためユニットの口径と性能によって、うるさく感じるモノもある。 

高域の指向特性がわるい。


【フルレンジ一発の最大のメリット】


 このブログにあるスピーカー(ユニット)の鳴らし方になること、位相の変化がなめらかなこと、コストパフォーマンスに優れていることが挙げられる。


【フルレンジ一発の最大のデメリット】


 中高音から高音域付近で分割振動で起きる歪で音圧にピーク、ディップが起きている。更に、小口径ユニットは、原理的に低音再生時に振動板の振幅が大きくなるため、中高音がドップラー効果により周波数振幅変調歪が起きていること。


 このようなことからフルンジユニットごとの特有の音質(癖とも言うべき)に成りがちになることが挙げられる。


  密閉型でフルレンジ一発を鳴らす  



 20cm以下の小口径ユニットをマウントした密閉型スピーカーでは、低音域の特に100Hz以下の音圧が得にくく、これがデメリットの一つでもあり、最大の欠点です。ここをどのようにクリアするかが課題です。


 そして、口径が大きく成るにしたがって高音域の質とクオリティーが落ちる。その解決策を考えてみました。


1、コーナーセッティッグ

 スピーカーシステムは、リスニングルーム内のセッティッグの仕方で再生音の響き方や低音の聴こえ方が変わる。スピーカーを部屋のコーナーにセッティッグし低音域の量感を得る。ただ、音がこもり気味に聴こえるようであるが、エンクロージャー形状で解決できる。


2、アンプのトーンコントロールの活用
  
アンプのトーンコントロールやラウドネルもしくはイコライザーで高音と低音の補正を行う。


3、ユニットのチューニング
  
 低音帯域の拡大と分割振動の影響による中高音~高音域の暴れを抑えるための、ユニットのメカニカルチューニングをすることで、音の分解能向上が可能になる。


4、ユニットのマウントの仕方
  
ユニットのバッフルへのマウントの仕方で、音質(音の分解能)が向上する。


  ユニットの選定  



 フルレンジ一発(1Way)スピーカーシステムに使用されているフルレンジユニットの口径は、8cm~20cmまでが中心です。ユニットの種類は、シングルコーン型と高域特性を補うため、中心に小さなコーンを付けたメカニカル2ウェイのダブルコーン型があります。


また、俗に「ロクハン」呼ばれる16cm口径と20cm口径は、高低間の「音のバランスが良い」と言われています。
20cmフルレンジユニット


 国内では、ダイヤトーンのP-610やパイオニアのPE-16などが名機と呼ばれ、スピーカー自作派の方々に長きに渡り愛用され、今も人気があり、その影響なのか、16cmユニットが主流のようです。


海外では20cmユニットが主流です。


 フルレンジユニット1個で密閉型スピーカーを製作するにあたり、80Hz~200Hzまでの低音域の音の質、音響的エネルギー量(空間のリアル感)を考えると、フルレンジ型であっても25cm(10インチ)口径を使った方が良いのではないかとも考えます。


しかし、中高音~高音域の分割振動の影響による歪量が懸念されますので、10インチ口径のフルレンジユニットの特性と音質を調べてからと思っています。


 1インチのボイスコイルを使ったダブルコーン型10インチであれば、ロクハン等の高音域の特性と比べても遜色はないとも・・・・・? 


 今回の密閉型フルレンジ一発スピーカー製作では、低音から高音域間の音の出方のバランスが良いとされる日本的フルレンジの王道、「ロクハン」16cmユニットを使って考案します。


本当にロクハンは、「低音~高音域間の音の出方のバランスが良いのか?」


P[007]


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2011年10月31日月曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5

 密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」完成 


密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4からの続きです。






密閉型2Way「スパイス2.11」をTVに接続


 9月上旬に、「スパイス2.11」が完成しました.。そこで液晶テレビの背面にトグルスイッチとスピーカー接続用の音声出力ターミナルを取り付け、テレビ内臓のアンプで「スパイス2.11」を鳴らすように改造しました。

 これにより液晶テレビ付属のリモコンでスピーカーの音量調節が可能となり、液晶テレビで様々なスピーカーシステムが試聴可能としました。

 テレビ内臓のアンプ(シングルアンプ)はけして性能が良いとは思いませんが、ブルーレイレコーダーでCDが再生できるの、スピーカーシステムの試聴とテストを繰り返すのには打って付けです。

ただし、シングルアンプの場合ですと、2Wayか1Way(フルレンジ一発)のまでのスピーカーシステムで鳴らすのが最適と考えています。

 それは、スピーカーユニットの鳴らし方の観点からと。そして、シングルアンプで鳴らすマルチウェイ方式では、フルレンジの音声電気信号をLCネットワークで分割しますので、音声電気信号回路にコイルとコンデンサーを入ることで電圧と電流の位相差が起こるなど、弊害があるからです。

 スピーカーユニットのインピーダンスは、入力周波数に対して一定ではなく、その値が変化することで設計上クロスオーバー周波数は一定ならないこと。

そして、スピーカーユニット数が増えると、LCネットワークによるクロスオーバー周波数ポイントも当然増えますので、電圧と電流の位相差によりユニット間のタイムアライメント合わせが容易ではない、という問題があるからです。

 スラント(傾斜)式スタンディング 



密閉型2Way、スラント方式

  エンクロージャーの脚は、三点支持とし、画像では
  判りにくいのですがエンクロージャーのトップパネル
  面とスピーカーを設置しているフローリングの面は平
  行で、トップパネル面は水平を保たせています。

   これによりトップパネルに置かれたホーンツィータ 
  ーは水平方向に音を放射します。

   加えて、エンクロージャーを後方に5度スラント(傾
  斜)させてスタンディングさせることで、ホーンツィータ
  ーの放射音とフルレンジの放射音の空間合成をスム
  ーズになります。

   また、エンクロージャーをスラント(傾斜)させること
  で、前方方向への音飛びが良くなる為、音場の奥行感
  を出すのに一役かっています。

   更に「スパイス2.11」では、ユニット間のタイムアライ
  メントに配慮したフリー配置型(前後に移動可能)ホー
  ンツィーターとしています。



 「スパイク2.11」の音質のスケールやリアル感 


 「スパイク2.11」の再生音は、密閉型スピーカーの特徴の低音域の締まり、ホーンバッフルの指向性のコントロールにより中高音張り出しもあり、そして、フルレンジユニットの接続端子からアンプまでの間にはスピーカーケーブル(その間の直流抵抗値を下げるためターミナル端子なし)しかありませんので電磁制動(ダンピング)の利いた、なかない良い音ではないかと主観ですが感じます。

しかし、フルレンジユニットの口径が小径のため、再生音から聴こえる楽器のスケール感とリアル感は、今一歩も百歩も後退しているかのようです。


 でも、メリハリのある好みの音質です・・・・・


 「スパイス2.11」のは14cmのフルレンジ小径ユニットなので、・・・そもそも、生の楽器(太鼓)が発する音(疎密波)の体積量とスピーカーユニットの振動板が発する音(疎密波)の体積量が、あまりにもかけ離れ過ぎていて量的差があるからでしょう。


 やはり、低音域の再生には、口径の大きいスピーカーユニットの方が適しているのではないでしょうか。

 今後の予定は、フルレンジユニット一発(1Way)仕様、コーナーセッティング型密閉スピ
カーシステム製作に取り組もう考えてます。

P[006]


 関連コンテンツ 


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密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2>>密閉型2Wayスピーカーのフルレンジ
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3>>フルレンジユニットのマウント方法
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4>>エンクロージャーの剛性と材質
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5>>密閉型2Wayスピーカースパイス

2011年8月16日火曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4

 スパイス2.11のエンクロージャーの剛性と材質 



*エンクロージャーの材質

 「スパイス2.11」のエンクロージャーパネルの材質には、外部を厚さ12mmのラワン合板を上張りに、内部を厚さ9.5mmの石膏ボードを下張りに、それらを接着剤で貼り合せ厚さ21.5mmの合材化にしました。


「スパイス2.11」密閉型2Wayエンクロージャー内部


 石膏ボードメーカーの吉野石膏のスーパータイガーボードの遮音性についての文章中に、

「・・・・従来のせっこうボードのみを用いた遮壁に対して、さらに壁面の重量を大きくる
と、よび上張りと下張りの材料に異なる種の材料を用いることによって、よりい
っそう遮音性を向上させることができるということが、当社総合性能試験センターでの
基礎実験によって明らかになりました。」 【引用】


 エンクロージャーパネルの材質を上文のような遮音壁と同じように複合材化することで、同じ厚さの合板を単体で使用する場合より、遮音性能が向上することでエンクロージャー内部の音をエンクロージャーの外に通しにくくなると考えられます。

 複合材化する、もしくは複合材をエンクロージャーの素材として用いることは、ユニットの背圧(定在波、音圧)よる影響で起こるエンクロージャーパネルの不要な共振(振動)を抑えるのに効果があると考えられます。

 それは俗によく言われる箱鳴りを抑えることになります。箱鳴りを抑えることで、再生音の分解能、音像定位の向上が見込めます。

 複合材は、「最も音の癖が少なく、作り方次第で無個性の音色、音質が聴ける良い材質」というような内容の記事がネット上にもあります。

 そして、エンクロージャーパネルからの不要な音(響き)を出さないようにすることは、スピーカー製作上、音質の向上を図る上で最も重要な要素だと考えます。

 材質には、極論を言えば固有の響き(音)を持たない材質が最適を考えますが、しかし、それは現実上不可能なようです。

 エンクロージャーパネルに適した材質の条件は、「遮音性能に優れ、固有の響きが少ない(癖が少ない)、できれば持たない。」ことが要求されると考えます。

エンクロージャー(スピーカーは楽器ではない。)にとって「響き」は、不要な付帯音(歪)あり、正しいかどうかわかりませんが時間歪をも、もたらすのではないかと考えます。


*エンクロージャー使用されている合板比重


主なエンクロージャー材料の比重

 「スパイス2.11」の材質の項で述べましたが、上張りには、厚さ12mm、比重0.6のラワ、下張りに厚さ9.5mm、比重0.67のタイーボード(石膏ボード)を貼り合せてエンクロージャーのパネルとして使用しました。

 当初は、遮音性能の向上を図る為、エンクロージャーパネルの重量を上げる為に下張りに1.2のスーパータイガーボードを使いたかったのですが、ホームセンターに見当たらなかったので、倉庫に寝ていた3×8サイズ、厚さ9.5mmと12.5mm比重0.67のタイガーボードのうち、今回はテスト作ということもあり9.5mmのタイガーボードを使うことにしました。

 タイガーボードは、合板に比べ価格が安価であることからも使用価値があるとも考え、合板で最も安価なコンパネと、1.2のスーパータイガーボードの組み合わせでエンクロージャーを製作するのも、一考と思います。

 使用した結果、 「スパイス2.11」の、トップパネル、ボトムパネル、バッフル下パネルでは、大音量時でも、「箱鳴り」共振による不要振動を各パネルを手で触れてみても感じることができず、全く問題のないレベルでした。

 L、Rサイドパネルの面積が大きいためか、不要振動が若干発生ていました。ただ、一般的なテレビを観る時の音量程度ですと不要振動を感じることができませんでした。

この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5で・・・・・

P[005]

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2011年7月18日月曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3

 フルレンジユニットのマウント方法 


密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2からの続きです。

 ユニットの磁気回路側に鉛のインゴットを取り付け、磁気回路側でバッフルにユニットをマウントると、間違いなく磁気回路部分の不要振動が減少(抑えられる)します。それにより、ユニットの再生音帯域の音質が向上します。

 「スパイク2.11」の図面を製図している時点で、ウー
ハーのマウントの仕方で音質が向上することに気付
いていませんでしたので、密閉型2Wayスピーカー
製作した鉛インゴット
「スパイス2.11」~1にある図面には、鉛のインゴット
を取り付けるように製図されていません。

 そこで、直径7.5cm厚さ2.1cm重量約1kgのの
鉛のインゴットを作り、ナットを磁気回路後部に接
着し、ボルトで鉛のインゴットをユニットに取り付け
テスト試聴を行いました。

 ユニットに鉛のインゴットを付ける前と付けた後の
音質の変化は、磁気回路の不要振動が減少した
ことにより再生音帯域の分解能と過渡応答が向上
したようで、全体的によりクリアーな音質になった
ように聴き取れます。
鉛のインゴットを取り付けところ


 特に低音域の音質は、バスレフ型スピーカーと密
閉型スピーカー低音域の音質の違いを「密閉型は
バスレフ型に比べ低音が締まった音に聴こえる。」
と評価されるように、鉛のインゴットを付け磁気回
路側でマウントすると低音域が締まったように聴こ
える。

 鉛のインゴットなしとありの状態で何度も比較試聴
を行った結果、音質は、明らかに良くなることが確
認できました。

 今回の鉛のインゴットは、1kgでしたが1.5~2kg
と重量を増すと更に効果が上がるのではないかと
思われる。

 クロスオーバー周波数 



ツィーターの内部

 ツィーターの内部の配線は、カナレのスピーカーケーブル 4S8を使用しました。

 ハイ パスフィルターは、フイルムコンデンサー2.2μF、1個による-6dB/octし、フルレンジユニットは、コイルを入れずにアンプとダイレクトに接続しています。

 塗装は、大変な作業 


塗装下地調整
今回のスピーカー製作行程で、最も時間を費や
したのが塗装作業。

 当初はスピーカーの全面をオールブラックの鏡
面塗装もどきを思い描き、下地調整のサンディ
ング、中塗りを終えてサンディングを重ねました
が、素材ががラワン合板のためか、なかなかフ
ラットになってくれません。

サーフェサーを何本も使ってしまった。

 中塗りの缶スプレー塗料がエナメルの安いも
のだったため塗装の硬化が遅く、さらい時間
が費やしてしまった。

 あまりにも時間がかかり過ぎるので、エンクロ
ージャーのサイドパネルを木目調の壁紙を貼
りクリアー塗装仕上げとし、ホーンバッフルと
トップパネルは、黒の上塗りとクリアー塗装仕
上げとし、ボトムパネルは黒のつや消し塗装
仕上げに変更しました。

ホーンツィーターについても、同様の仕上げに。

・・・・・・・・・塗装は、経験と根気が必要であると痛感した次第です。


この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4で・・・・・


P[004]


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2011年6月30日木曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2


 密閉型2Wayスピーカーのフルレンジユニット 


 試作(テスト)の密閉型スピーカー製作用に、ヤフオクで入手した中古品を使用。

「スパイス2.11」の音色を統一する為、ウーハー、ツィーター共にパルプ素材の振動板を持つコーン型スピーカーユニットをセレクトしました。

ローコスト中古スピーカーユニットをどうチューニングし、もしくはアレンジ、チューンアップすると「音質向上が出来るのか!?」

そこが最も興味深いところ。その為のテクニック、メソッド、ノウハウは「いかに?」というところでしょうか。                       

*  「フルレンジユニット」

ケンウッドのキャンセルマグット付きの14cmフルレンジ型ユニット。

ユニットは、エッジは細身、ダンパーは固めで、コーン紙とダストキャップ(センターキャップ)は厚めのパルプ素材。ガスケットは付いていません。


 ユニットを裸の状態で試聴したところ、フルレンジ型としては高音域の音圧が低く、伸びも感じられないもで・・・・そして、能率も低いものでした。 

因みにマグネットサイズは下記となります。

メイン・・・・・直径6.5cm厚さ1.1cm

・サブ  ・・・・・直径5.5cm厚さ0.8cm       

画像は、チューニング途中のユニットです。何の変哲もない量産型の安物です。



14cmフルレンジリア
14cmフルレンジフロント

*「ツィーター」

 テクニクスの直径5cmバックチャンバーなし、ユニットの背後が半開放されたタイプ。

 そもそもこのユニットは、ツィーターとして入手した訳ではなく、その頃、ホーン型のスコーカーが欲しくてヤフオクで「テクニクスSB-400」のマルチセルラーホーン型スコーカーとして落札したユニットなのです。

ところが、マルチセルラーホーンのドライバーユニットは、画象のユニット。

その為なのか、一般的なコーン型ツィーターユニットのマグネットより大きめで、ユニットを裸の状態で試聴したところ、以外に高音域に伸びがあり、能率も高いユニットでした。

マグネットのサイズは

・メイン・・・直径6cm厚さ1cm。

下の画像の中の左のマグネットは、チューンアップ用のキャンセルマグネット
 
・・・直径5.5cm厚さ1.2cm。 

画像のツィーター用のユニットのフランジ部分は加工しました。                   


実質直径5cmテクニクスツィーター
キャンセルマグネットとツィーターリア


 スピーカーとアンプの接続 


 「スパイス2.11」とアンプとの接続は、スピーカー(ユニット)の鳴らし方に書いてあるように、アンプとスピーカーユニットの接続回路の直流抵抗値を最小値する、ことが要求されます。


カナレ4芯スピーカーケーブ

1、スピーカーとアンプを繋ぐスピーカーケーブルには、直流抵抗が小さい製品をセレクト。

2、フルレンジユニットとツィーターユニット間並びにツィーター接続用ターミナルを含めた接
  続(接点)個所数を最小数に。

3、圧着端子を用い、圧着端子にはメッキハンダ処理を施し接触抵抗の低減に配慮。

4、アンプとフルレンジユニット間にターミナルはなく、スピーカーケーブルのアンプ接続側は
  圧着端子とし、ユニット側はユニット付属の端子にハンダ付けとした。

5、スピーカーケーブルは、インダクタンスキャンセルの為にツイスト線のカナレ4芯スピーカ
  ーケーブル4S8黒をセレクト。


 フルレンジユニット(ドライバー)のマウントの考査 


ユニットを裸の状態で鳴らすとユニットの磁気回路付近から不要な振動が起きていることを、
磁気回路を手で包み込むように抱えると感じることができます。

音量を上げると甚だ激しくなり、特に低音域(250㎐以下)の音が鳴っている時に、よく感じ
取れます。ユニット自体が軽量だと更に増します。

この不要振動は、ユニットの磁気回路とボイスコイルで起こした振幅運動が、ダンパー、振
動板、エッジに伝わることによるユニット自体(固有)でおこる振動です。

ダンパー側に近い磁気回路で起きている振動と、エッジ側にあるユニットのフレームフラン
ジ側で起きている振動があるようす。ユニットにはエッジ側とダンパー(磁気回路)側の2箇
所で不要振動が起きているようです。

更に、ユニットをエンクロージャーにマウントすると、エンクロージャーからの不要振動がユ
ニットのフレームフランジから伝わり、磁気回路に入ります。ユニット自体でおこる不要振動
とエンクロージャーからの不要振動が合わさった不要振動が磁気回路にはあると考えられ
ます。

ユニットの磁気回路が振動するということは、振動板が音声信号に忠実な振幅運動ができ
なくなり、歪が発生します。その音質は、再生音域全域で締まりないような、表現が悪いです
がボケ音質とでもいうような音になります。

一般的なウーハーユニットのエンクロージャーへのマウント方法は、バッフル板にユニットの
フレームフランジ部分に空いている穴にボルトとナットや木ねじ等を通して、ユニットとバッフ
ル板の間にガスケットを入れ締め付けていると思いますが、この方法では、上記の不要振
動を抑えることは容易なことではないと考えられます。

ユニットで起きている不要振動対策として、ユニットを鉛のインゴット+柱のような質量の大
きい素材に強固に磁気回路側で固定することで、ユニット自体の不要振動を抑えられるの
ではないかと考えます。

ユニットのフレームフランジ側をバッフル板の気密性を保ちつつ、フレームがぶれないよう
保持し、エンクロージャーからの不要振動が伝わりにくい素材(防振、制振)でユニットのフ
レームフランジ部分を挟み込んでマウントすると良いのではないかと考えます。

さらに、フレームフランジ部分自体の質量のアップを図ることで、エッジ側で起きている不要
振動を抑えることが出来るのではないかと考えられますが、今回の「スパイス2.11」では、
フレームフランジ部分の質量アップは行っていません。

*補足・・・・・スピーカーユニットのフレームがアルミ製のものや磁気回路が大きいユニット
        は、ユニット自体の質量があるので不要振動を抑えるのに適した構造です。

この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3で・・・・・


P[003]


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2011年5月22日日曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~1

 密閉型スピーカー製作に初挑戦 


 昨年より製作を開始した密閉型2Wayスピーカーシステムの「スパイス2.11」です。

ユニットをエンクロージャーに仮止めし、ホーン付きコーン型ツィーターをトップパネルに置いた製作途中の画像です。

スピーカーユニットをエンクロージャーに取り付け、ウーハーとツィーターユニットのチューニングの検討、エンクロージャーへの補強の入れ方、吸音材の充填量の検討、ツィーターの設置位置の検討、エンクロージャーの箱鳴りの確認等の為、音量を上げ幾度なく試聴を繰り返し行ってきたました。

更に木工技術、塗装技術が未熟な為、製作時間が思いのほか掛かっています。

密閉型2wayスパイス 2.11

 エンクロージャーの形状       


 上の画像では、長方形の四角いエンクロージャーにしか見えませんが、少々、異形の形状
です。

下の図面を見ていただければお分かりと思いますが、一般的な長方形の四角いエンクロー
ジャーとは違います。更に、「スパイス2.11」ではバッフル板にショートホーンを付けたホーン
バッフル形状としています。

エンクロージャー内に発生する定在波を抑えるため、平行面を極力持たない形状にしまた。

しかし、定在波の発生を完全に抑えることは、如何なる形状のエンクロージャーでも難しいよ
うです。球体、円筒、三角形等・・・・でも。定在波は、点と点でも発生します

ただ、「五角形の立方体は発生しない」という情報をネット上で読んだ記憶がありますが、そ
れが事実なのか未確認・・・・・


密閉型2Wayスパイス2.11の図面


 ホーンバッフル 



 「スパイス2.11」のバッフル板をショートホーン付きとしたのは、音の指向性コントロールが
目的です。

指向性を狭くすることでリスナーとスピーカーの距離が比較的が離れていてもスピーカーの
直接音がしっかりと届く為です。密閉型の場合、スピーカーユニットから低音域から高音域
までの音が振動板から放射されます。

*リスナーの聴いているスピーカーの直接音の割合を多くする

リスニングルーム(部屋)に置かれたスピーカーシステムで再生された音は、リスニングルー
ムの6面(天井、床、左右壁、前後壁などの平行面)で反射され、反射音(間接音)が起き
ます。

リスナーが聴いている音の約70%前後が間接音(反射音)で、残りの約30%前後がスピー
ーシステムからの直音です

リスニングルーム内におえる間接音(反射音)の定在波の影響は、スピーカーシステムの音
圧周波数特性上の低域特性で最も現れ、メーカーの発表している音圧周波数特性とは、似
ても似つかない定在波の影響受けた音圧周波数特性なっています。

特に超低音域(100Hz以下)の特性は、物凄いことになっています。リスニングルーム(部屋)
が小さいほど定在波の影響を受けやすくなります。

リスニングルーム広さ、スピーカーの性能、リスニングルーム内のスピーカーシステムのセッ
ティング方法によってオーディオシステム全体の再生音の良し悪しは決まります。

*定在波の影響を調べた音圧周波数特性の計測結果記事から

 リスニングルーム内の定在波の計測用のマイク距離を、スピーカーシステムから、0.5m、
1m、2m、で音圧周波数特性を計測したグラフと記事から、

・ 0.5mですとスピーカーシステムの特性と差ほど変わらない音圧周波数特性

・ 距離が1m、2mと離れるほど定在波の影響を受けた大波小波状態の音圧周波数特性。

上記よりニアフィールドでは、定在波の影響を感じ難い。 一般的なリスニングフィールドまで
の距離2m前後では、定在波の影響を感じ易い。そして、密閉型イヤホンでは、直接音だけ
を聴いてます。

以上からリスナーが聴いている直接音の割合を30%以上に上げることが必要と考えます。
仮に直接音の割合を60%、間接音の割合を40%でリスナーがリスニングフィールドで試聴
できると、定在波による影響を無視できるようになるのではないか?

そこで、「スパイス2.11」の14cmフルレンジユニットの小径振動板で放射される音響エネル
ギーを有効利用すること、スピーカーのセッティング方法を工夫することで、定在波の影響を
出来るだけ感じ難くする為に、ショートホーンバッフル付きのスラントセッティングできるエンク
ロージャー形状としました。

*しかし、一般的な音量で、6畳ないし8畳の部屋でスピーカーを鳴らす場合は、定在波に対
してそれ程神経質になる必要はないとも考えますが・・・・・?

*加えて、超低音域、低音域の再生に、口径の大きいスピーカーユニットを使うと、再生音に
含まれる歪が低減し、クリアー(リアリティーのある生々しい)な音質で生楽器の音により近い
スケール感のある音となって聴こえますが・・・・・? ホーンバッフルの話からそれましたね。

この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2 で・・・・・


P[002]


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密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4>>エンクロージャーの剛性と材質

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5>>密閉型2Wayスピーカースパイス


2011年4月4日月曜日

はじめに!!

 スピーカーユニット(ドライバー)の鳴らし方 


 スピーカーユニットのボイスコイルとアンプをダイレクトに接続するのが最も良い鳴らし
す。

 アプのンピング(電磁制動力)が良く効き、締まりの(過渡特性が良い)ある音質
なり、そして、も歪が少らしになります。

 「アンプとスピーカーユニットの接続回路の直流抵抗値を出来る限
る」ことが、スピーカーシステムを制作するうえで、最も重要なファクターだと考えます

 ですから、

 マルチWayのスピーカーシステムを製作する際は、アンプとスピーカーユニットを1対1
で組むのが最適であり、俗に言われるマルチアンプ方式によるマルチWayスピーカーシ
ステムが理想だと思います。


 再生音をリアルな音質で聴く さリアルなで聴くには 


 
「音」は、空気の疎密波です。楽器を演奏すると当然音がでますね。

 例えば、

 バスドラムで話しますと、バスドラムの直径は、22インチ前後。22インチをセンチ換
算すると直径約55cmとなります。バスドラムが疎密波をつくりだす面積は、27.5×
27.5×3.14=約2,375c㎡。

 バスドラムのペダルを踏むとバスドラムの膜が振幅します。

 その振幅の幅を仮に1cmとすると、バスドラムがつくり出す疎密波の体積量は、1×
2,375=2,375c㎥となります。

密閉型スピーカーのLチャンネル・Rチャンネル、2個のウーハーユニットで、上記の
バスドラムの疎密波の体積量2,375c㎥をつくり出すには、1個のウーハーユニット
が2,375㎥÷2=約1,187の体積量をつくり出す必要があります。

 1個(低音域を分割した場合は複数)のウーハーユニットで1,187c㎥の同等の
体積量をつくり出すユニットの口径は、ウーハーユニットの振幅の幅も仮に1cmとし
た場合、振動板実効直径が39cmのユニットが必要になります。

(r19,5cm)×(r19,5cm)×3.14×1cm=約1,194c㎥となり、

46センチ(18インチ)のユニットが必要となります。


「リアルな音質になるか」は、

バスドラムのつくり出す疎密波の体積量と同等の体積量をスピーカーシステムの低
音域を担っているウーハーユニットがつくり出せるかにかかります。

さらに、

倍音領域、特に8kHz以上の領域の電気信号を、忠実に正確に音波に変換でき
る高性能なツィーターを使うかにかかります。


「音響エネルギー量: i.フォニックの仮説式」

 
 音圧(db)×振動板面積(c㎡)÷1000=音響エネルギー量(W)

 この式は、i.フォニックの思考式ですの誤解のないように。


*10cmフルレンジユニット
   
 :振動板実効直径、約7cm :音圧90db(再生周波数90Hz~20kHz)

音響エネルギー量: 90(db)×38(c㎡)÷1000=3.42W

*30cmウーハーユニット

 :振動板実効直径、約24cm :音圧90db(再生周波数50Hz~4.5kHz)

音響エネルギー量: 90(db)×452(c㎡)÷1000=40.68W

 この音響エネルギー量が大きい程「リアルな生々しい音質」で再生が可能と思います。

 スピーカーシステムの役割り 


 CD(音楽)を聴くには、オーディオシステムなどが必要となりますが。

 そのオーディオシステムを構成するCDプレーヤー、アンプ、スピーカーなどのコンポー
ネントの中で、オーディオシステム全体の音質の良し悪しを大きく左右するのは、CDプ
レーヤーでもアンプでもなく、

   「スピーカーシステム」です。

 オーディオシステム全体の音質を100とするとスピーカーシステムは、70~80%にも
及ぶほど音質の良し悪しを左右します。

 残りの20~30%は、CDプレーヤーとアンプといったところです。

 そもそも、CDプレーヤーとアンプの性能的完成度は、非常に高いのです。

 例えば、高調波歪率の場合ですと0.01%以下と、人間の聴力でその歪を感知するこ
とは、到底不可能な領域にあります。

 それに対してスピーカーシステムの性能的完成度は、今だ、アンプやCDプレーヤーの
ような歪率領域にはありまえん。

 一般的なスピーカーシステムの歪率は1%前後でアンプやCDプレーヤと比較すると、
100倍以上も歪率が悪いのです。

 さらに、スピーカーシステムの再生音の低音域では、1%前後より歪率は悪くなり超低
音域になると更に悪化します。

 高性能CDプレーヤーとアンプで、高S/N比・超低歪率の音声電気信号をスピーカー
システムに送り出したとしても、スピーカーシステムが粗悪なものだとしたら、再生される

その音(音質)は、決して良い音楽を奏でることはできないと思います。

 *補足・・・・・人間の聴力では、耳が良い人でも歪が3%前後からでないと感知できな
        いようです。

 オーディオのグレードアップはスピーカーから    


 上記からスピーカーシステムは、オーディオシステムにおける「再生音(音質)に与え
役割は非常に大きい」と、言えると思います。

 そして、オーディオシステムの音質改善(向上)を行う場合、CDプレーヤーやアンプの
グレードアップを行うより、スピーカーシステムのグレードアップを行った方が、音質向
上が顕著に現れる場合が殆んどだと思います。

 音楽とオーディオ(スピーカー)が好き 


 CD(音楽)を良い音で聴くためには、オーディオシステムの中のスピーカーシステムの
最適化が先決と考え・・・・・「じゃ~スピーカー制作を創めてみよう」と思い立った次第。

 しかしながら思い立ってから、もう一年以上も月日が流れ去っています。

 その間、スピーカーを制作するための木工用の道具や器材を購入し、テスト用の中古
スピーカーユニット38cm~10cmの各サイズとホーン型スコーカー、ホーン型ツィーター
など、その他のパーツも徐々に揃えたので
 
 そろそろ活動開始ではないかと思い・・・・ブログに活動内容とスピーカーの音質改
善、向上に役立つ情報を記録していこうと・・・・「I-PHONIC  i-フォニック」

 スピーカーのデザイン、仕上がり、見栄えは、とても大切な要素・・・・「スピーカーのスタ
イル」で、人は無意識に音質の良し悪しを判断します・・・・・?

まず、木工工作の練習と経験を重ねることが重要と考えます。


*スピーカーを制作する上で

 再生される低音領域にある楽器の音が、どれだけ生の楽器の音に近い、ナチュラルな
音質であるか問われるべきで、低音が何Hz下まで出ているとか、出ていない、ではないと
思います。

 再生される低音領域にある楽器の音質なり音色の評価を見据えながら、エンクロージ
ャーの設計やスピーカーシステム製作に取り組むことが重要と考えます。


それでは、今後ともよろしくお願い申し上げます。

ブログアップは「気の向くまま」・・・・・となっております。


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