2011年6月30日木曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2


 密閉型2Wayスピーカーのフルレンジユニット 


 試作(テスト)の密閉型スピーカー製作用に、ヤフオクで入手した中古品を使用。

「スパイス2.11」の音色を統一する為、ウーハー、ツィーター共にパルプ素材の振動板を持つコーン型スピーカーユニットをセレクトしました。

ローコスト中古スピーカーユニットをどうチューニングし、もしくはアレンジ、チューンアップすると「音質向上が出来るのか!?」

そこが最も興味深いところ。その為のテクニック、メソッド、ノウハウは「いかに?」というところでしょうか。                       

*  「フルレンジユニット」

ケンウッドのキャンセルマグット付きの14cmフルレンジ型ユニット。

ユニットは、エッジは細身、ダンパーは固めで、コーン紙とダストキャップ(センターキャップ)は厚めのパルプ素材。ガスケットは付いていません。


 ユニットを裸の状態で試聴したところ、フルレンジ型としては高音域の音圧が低く、伸びも感じられないもで・・・・そして、能率も低いものでした。 

因みにマグネットサイズは下記となります。

メイン・・・・・直径6.5cm厚さ1.1cm

・サブ  ・・・・・直径5.5cm厚さ0.8cm       

画像は、チューニング途中のユニットです。何の変哲もない量産型の安物です。



14cmフルレンジリア
14cmフルレンジフロント

*「ツィーター」

 テクニクスの直径5cmバックチャンバーなし、ユニットの背後が半開放されたタイプ。

 そもそもこのユニットは、ツィーターとして入手した訳ではなく、その頃、ホーン型のスコーカーが欲しくてヤフオクで「テクニクスSB-400」のマルチセルラーホーン型スコーカーとして落札したユニットなのです。

ところが、マルチセルラーホーンのドライバーユニットは、画象のユニット。

その為なのか、一般的なコーン型ツィーターユニットのマグネットより大きめで、ユニットを裸の状態で試聴したところ、以外に高音域に伸びがあり、能率も高いユニットでした。

マグネットのサイズは

・メイン・・・直径6cm厚さ1cm。

下の画像の中の左のマグネットは、チューンアップ用のキャンセルマグネット
 
・・・直径5.5cm厚さ1.2cm。 

画像のツィーター用のユニットのフランジ部分は加工しました。                   


実質直径5cmテクニクスツィーター
キャンセルマグネットとツィーターリア


 スピーカーとアンプの接続 


 「スパイス2.11」とアンプとの接続は、スピーカー(ユニット)の鳴らし方に書いてあるように、アンプとスピーカーユニットの接続回路の直流抵抗値を最小値する、ことが要求されます。


カナレ4芯スピーカーケーブ

1、スピーカーとアンプを繋ぐスピーカーケーブルには、直流抵抗が小さい製品をセレクト。

2、フルレンジユニットとツィーターユニット間並びにツィーター接続用ターミナルを含めた接
  続(接点)個所数を最小数に。

3、圧着端子を用い、圧着端子にはメッキハンダ処理を施し接触抵抗の低減に配慮。

4、アンプとフルレンジユニット間にターミナルはなく、スピーカーケーブルのアンプ接続側は
  圧着端子とし、ユニット側はユニット付属の端子にハンダ付けとした。

5、スピーカーケーブルは、インダクタンスキャンセルの為にツイスト線のカナレ4芯スピーカ
  ーケーブル4S8黒をセレクト。


 フルレンジユニット(ドライバー)のマウントの考査 


ユニットを裸の状態で鳴らすとユニットの磁気回路付近から不要な振動が起きていることを、
磁気回路を手で包み込むように抱えると感じることができます。

音量を上げると甚だ激しくなり、特に低音域(250㎐以下)の音が鳴っている時に、よく感じ
取れます。ユニット自体が軽量だと更に増します。

この不要振動は、ユニットの磁気回路とボイスコイルで起こした振幅運動が、ダンパー、振
動板、エッジに伝わることによるユニット自体(固有)でおこる振動です。

ダンパー側に近い磁気回路で起きている振動と、エッジ側にあるユニットのフレームフラン
ジ側で起きている振動があるようす。ユニットにはエッジ側とダンパー(磁気回路)側の2箇
所で不要振動が起きているようです。

更に、ユニットをエンクロージャーにマウントすると、エンクロージャーからの不要振動がユ
ニットのフレームフランジから伝わり、磁気回路に入ります。ユニット自体でおこる不要振動
とエンクロージャーからの不要振動が合わさった不要振動が磁気回路にはあると考えられ
ます。

ユニットの磁気回路が振動するということは、振動板が音声信号に忠実な振幅運動ができ
なくなり、歪が発生します。その音質は、再生音域全域で締まりないような、表現が悪いです
がボケ音質とでもいうような音になります。

一般的なウーハーユニットのエンクロージャーへのマウント方法は、バッフル板にユニットの
フレームフランジ部分に空いている穴にボルトとナットや木ねじ等を通して、ユニットとバッフ
ル板の間にガスケットを入れ締め付けていると思いますが、この方法では、上記の不要振
動を抑えることは容易なことではないと考えられます。

ユニットで起きている不要振動対策として、ユニットを鉛のインゴット+柱のような質量の大
きい素材に強固に磁気回路側で固定することで、ユニット自体の不要振動を抑えられるの
ではないかと考えます。

ユニットのフレームフランジ側をバッフル板の気密性を保ちつつ、フレームがぶれないよう
保持し、エンクロージャーからの不要振動が伝わりにくい素材(防振、制振)でユニットのフ
レームフランジ部分を挟み込んでマウントすると良いのではないかと考えます。

さらに、フレームフランジ部分自体の質量のアップを図ることで、エッジ側で起きている不要
振動を抑えることが出来るのではないかと考えられますが、今回の「スパイス2.11」では、
フレームフランジ部分の質量アップは行っていません。

*補足・・・・・スピーカーユニットのフレームがアルミ製のものや磁気回路が大きいユニット
        は、ユニット自体の質量があるので不要振動を抑えるのに適した構造です。

この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3で・・・・・


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2011年5月22日日曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~1

 密閉型スピーカー製作に初挑戦 


 昨年より製作を開始した密閉型2Wayスピーカーシステムの「スパイス2.11」です。

ユニットをエンクロージャーに仮止めし、ホーン付きコーン型ツィーターをトップパネルに置いた製作途中の画像です。

スピーカーユニットをエンクロージャーに取り付け、ウーハーとツィーターユニットのチューニングの検討、エンクロージャーへの補強の入れ方、吸音材の充填量の検討、ツィーターの設置位置の検討、エンクロージャーの箱鳴りの確認等の為、音量を上げ幾度なく試聴を繰り返し行ってきたました。

更に木工技術、塗装技術が未熟な為、製作時間が思いのほか掛かっています。

密閉型2wayスパイス 2.11

 エンクロージャーの形状       


 上の画像では、長方形の四角いエンクロージャーにしか見えませんが、少々、異形の形状
です。

下の図面を見ていただければお分かりと思いますが、一般的な長方形の四角いエンクロー
ジャーとは違います。更に、「スパイス2.11」ではバッフル板にショートホーンを付けたホーン
バッフル形状としています。

エンクロージャー内に発生する定在波を抑えるため、平行面を極力持たない形状にしまた。

しかし、定在波の発生を完全に抑えることは、如何なる形状のエンクロージャーでも難しいよ
うです。球体、円筒、三角形等・・・・でも。定在波は、点と点でも発生します

ただ、「五角形の立方体は発生しない」という情報をネット上で読んだ記憶がありますが、そ
れが事実なのか未確認・・・・・


密閉型2Wayスパイス2.11の図面


 ホーンバッフル 



 「スパイス2.11」のバッフル板をショートホーン付きとしたのは、音の指向性コントロールが
目的です。

指向性を狭くすることでリスナーとスピーカーの距離が比較的が離れていてもスピーカーの
直接音がしっかりと届く為です。密閉型の場合、スピーカーユニットから低音域から高音域
までの音が振動板から放射されます。

*リスナーの聴いているスピーカーの直接音の割合を多くする

リスニングルーム(部屋)に置かれたスピーカーシステムで再生された音は、リスニングルー
ムの6面(天井、床、左右壁、前後壁などの平行面)で反射され、反射音(間接音)が起き
ます。

リスナーが聴いている音の約70%前後が間接音(反射音)で、残りの約30%前後がスピー
ーシステムからの直音です

リスニングルーム内におえる間接音(反射音)の定在波の影響は、スピーカーシステムの音
圧周波数特性上の低域特性で最も現れ、メーカーの発表している音圧周波数特性とは、似
ても似つかない定在波の影響受けた音圧周波数特性なっています。

特に超低音域(100Hz以下)の特性は、物凄いことになっています。リスニングルーム(部屋)
が小さいほど定在波の影響を受けやすくなります。

リスニングルーム広さ、スピーカーの性能、リスニングルーム内のスピーカーシステムのセッ
ティング方法によってオーディオシステム全体の再生音の良し悪しは決まります。

*定在波の影響を調べた音圧周波数特性の計測結果記事から

 リスニングルーム内の定在波の計測用のマイク距離を、スピーカーシステムから、0.5m、
1m、2m、で音圧周波数特性を計測したグラフと記事から、

・ 0.5mですとスピーカーシステムの特性と差ほど変わらない音圧周波数特性

・ 距離が1m、2mと離れるほど定在波の影響を受けた大波小波状態の音圧周波数特性。

上記よりニアフィールドでは、定在波の影響を感じ難い。 一般的なリスニングフィールドまで
の距離2m前後では、定在波の影響を感じ易い。そして、密閉型イヤホンでは、直接音だけ
を聴いてます。

以上からリスナーが聴いている直接音の割合を30%以上に上げることが必要と考えます。
仮に直接音の割合を60%、間接音の割合を40%でリスナーがリスニングフィールドで試聴
できると、定在波による影響を無視できるようになるのではないか?

そこで、「スパイス2.11」の14cmフルレンジユニットの小径振動板で放射される音響エネル
ギーを有効利用すること、スピーカーのセッティング方法を工夫することで、定在波の影響を
出来るだけ感じ難くする為に、ショートホーンバッフル付きのスラントセッティングできるエンク
ロージャー形状としました。

*しかし、一般的な音量で、6畳ないし8畳の部屋でスピーカーを鳴らす場合は、定在波に対
してそれ程神経質になる必要はないとも考えますが・・・・・?

*加えて、超低音域、低音域の再生に、口径の大きいスピーカーユニットを使うと、再生音に
含まれる歪が低減し、クリアー(リアリティーのある生々しい)な音質で生楽器の音により近い
スケール感のある音となって聴こえますが・・・・・? ホーンバッフルの話からそれましたね。

この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2 で・・・・・


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