2011年7月18日月曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3

 フルレンジユニットのマウント方法 


密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2からの続きです。

 ユニットの磁気回路側に鉛のインゴットを取り付け、磁気回路側でバッフルにユニットをマウントると、間違いなく磁気回路部分の不要振動が減少(抑えられる)します。それにより、ユニットの再生音帯域の音質が向上します。

 「スパイク2.11」の図面を製図している時点で、ウー
ハーのマウントの仕方で音質が向上することに気付
いていませんでしたので、密閉型2Wayスピーカー
製作した鉛インゴット
「スパイス2.11」~1にある図面には、鉛のインゴット
を取り付けるように製図されていません。

 そこで、直径7.5cm厚さ2.1cm重量約1kgのの
鉛のインゴットを作り、ナットを磁気回路後部に接
着し、ボルトで鉛のインゴットをユニットに取り付け
テスト試聴を行いました。

 ユニットに鉛のインゴットを付ける前と付けた後の
音質の変化は、磁気回路の不要振動が減少した
ことにより再生音帯域の分解能と過渡応答が向上
したようで、全体的によりクリアーな音質になった
ように聴き取れます。
鉛のインゴットを取り付けところ


 特に低音域の音質は、バスレフ型スピーカーと密
閉型スピーカー低音域の音質の違いを「密閉型は
バスレフ型に比べ低音が締まった音に聴こえる。」
と評価されるように、鉛のインゴットを付け磁気回
路側でマウントすると低音域が締まったように聴こ
える。

 鉛のインゴットなしとありの状態で何度も比較試聴
を行った結果、音質は、明らかに良くなることが確
認できました。

 今回の鉛のインゴットは、1kgでしたが1.5~2kg
と重量を増すと更に効果が上がるのではないかと
思われる。

 クロスオーバー周波数 



ツィーターの内部

 ツィーターの内部の配線は、カナレのスピーカーケーブル 4S8を使用しました。

 ハイ パスフィルターは、フイルムコンデンサー2.2μF、1個による-6dB/octし、フルレンジユニットは、コイルを入れずにアンプとダイレクトに接続しています。

 塗装は、大変な作業 


塗装下地調整
今回のスピーカー製作行程で、最も時間を費や
したのが塗装作業。

 当初はスピーカーの全面をオールブラックの鏡
面塗装もどきを思い描き、下地調整のサンディ
ング、中塗りを終えてサンディングを重ねました
が、素材ががラワン合板のためか、なかなかフ
ラットになってくれません。

サーフェサーを何本も使ってしまった。

 中塗りの缶スプレー塗料がエナメルの安いも
のだったため塗装の硬化が遅く、さらい時間
が費やしてしまった。

 あまりにも時間がかかり過ぎるので、エンクロ
ージャーのサイドパネルを木目調の壁紙を貼
りクリアー塗装仕上げとし、ホーンバッフルと
トップパネルは、黒の上塗りとクリアー塗装仕
上げとし、ボトムパネルは黒のつや消し塗装
仕上げに変更しました。

ホーンツィーターについても、同様の仕上げに。

・・・・・・・・・塗装は、経験と根気が必要であると痛感した次第です。


この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4で・・・・・


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 関連コンテンツ 


密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~1>>密閉型スピーカー製作に初挑戦
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2>>密閉型2Wayスピーカーのフルレンジ
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3>>フルレンジユニットのマウント方法
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4>>エンクロージャーの剛性と材質
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5>>密閉型2Wayスピーカースパイス

2011年6月30日木曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2


 密閉型2Wayスピーカーのフルレンジユニット 


 試作(テスト)の密閉型スピーカー製作用に、ヤフオクで入手した中古品を使用。

「スパイス2.11」の音色を統一する為、ウーハー、ツィーター共にパルプ素材の振動板を持つコーン型スピーカーユニットをセレクトしました。

ローコスト中古スピーカーユニットをどうチューニングし、もしくはアレンジ、チューンアップすると「音質向上が出来るのか!?」

そこが最も興味深いところ。その為のテクニック、メソッド、ノウハウは「いかに?」というところでしょうか。                       

*  「フルレンジユニット」

ケンウッドのキャンセルマグット付きの14cmフルレンジ型ユニット。

ユニットは、エッジは細身、ダンパーは固めで、コーン紙とダストキャップ(センターキャップ)は厚めのパルプ素材。ガスケットは付いていません。


 ユニットを裸の状態で試聴したところ、フルレンジ型としては高音域の音圧が低く、伸びも感じられないもで・・・・そして、能率も低いものでした。 

因みにマグネットサイズは下記となります。

メイン・・・・・直径6.5cm厚さ1.1cm

・サブ  ・・・・・直径5.5cm厚さ0.8cm       

画像は、チューニング途中のユニットです。何の変哲もない量産型の安物です。



14cmフルレンジリア
14cmフルレンジフロント

*「ツィーター」

 テクニクスの直径5cmバックチャンバーなし、ユニットの背後が半開放されたタイプ。

 そもそもこのユニットは、ツィーターとして入手した訳ではなく、その頃、ホーン型のスコーカーが欲しくてヤフオクで「テクニクスSB-400」のマルチセルラーホーン型スコーカーとして落札したユニットなのです。

ところが、マルチセルラーホーンのドライバーユニットは、画象のユニット。

その為なのか、一般的なコーン型ツィーターユニットのマグネットより大きめで、ユニットを裸の状態で試聴したところ、以外に高音域に伸びがあり、能率も高いユニットでした。

マグネットのサイズは

・メイン・・・直径6cm厚さ1cm。

下の画像の中の左のマグネットは、チューンアップ用のキャンセルマグネット
 
・・・直径5.5cm厚さ1.2cm。 

画像のツィーター用のユニットのフランジ部分は加工しました。                   


実質直径5cmテクニクスツィーター
キャンセルマグネットとツィーターリア


 スピーカーとアンプの接続 


 「スパイス2.11」とアンプとの接続は、スピーカー(ユニット)の鳴らし方に書いてあるように、アンプとスピーカーユニットの接続回路の直流抵抗値を最小値する、ことが要求されます。


カナレ4芯スピーカーケーブ

1、スピーカーとアンプを繋ぐスピーカーケーブルには、直流抵抗が小さい製品をセレクト。

2、フルレンジユニットとツィーターユニット間並びにツィーター接続用ターミナルを含めた接
  続(接点)個所数を最小数に。

3、圧着端子を用い、圧着端子にはメッキハンダ処理を施し接触抵抗の低減に配慮。

4、アンプとフルレンジユニット間にターミナルはなく、スピーカーケーブルのアンプ接続側は
  圧着端子とし、ユニット側はユニット付属の端子にハンダ付けとした。

5、スピーカーケーブルは、インダクタンスキャンセルの為にツイスト線のカナレ4芯スピーカ
  ーケーブル4S8黒をセレクト。


 フルレンジユニット(ドライバー)のマウントの考査 


ユニットを裸の状態で鳴らすとユニットの磁気回路付近から不要な振動が起きていることを、
磁気回路を手で包み込むように抱えると感じることができます。

音量を上げると甚だ激しくなり、特に低音域(250㎐以下)の音が鳴っている時に、よく感じ
取れます。ユニット自体が軽量だと更に増します。

この不要振動は、ユニットの磁気回路とボイスコイルで起こした振幅運動が、ダンパー、振
動板、エッジに伝わることによるユニット自体(固有)でおこる振動です。

ダンパー側に近い磁気回路で起きている振動と、エッジ側にあるユニットのフレームフラン
ジ側で起きている振動があるようす。ユニットにはエッジ側とダンパー(磁気回路)側の2箇
所で不要振動が起きているようです。

更に、ユニットをエンクロージャーにマウントすると、エンクロージャーからの不要振動がユ
ニットのフレームフランジから伝わり、磁気回路に入ります。ユニット自体でおこる不要振動
とエンクロージャーからの不要振動が合わさった不要振動が磁気回路にはあると考えられ
ます。

ユニットの磁気回路が振動するということは、振動板が音声信号に忠実な振幅運動ができ
なくなり、歪が発生します。その音質は、再生音域全域で締まりないような、表現が悪いです
がボケ音質とでもいうような音になります。

一般的なウーハーユニットのエンクロージャーへのマウント方法は、バッフル板にユニットの
フレームフランジ部分に空いている穴にボルトとナットや木ねじ等を通して、ユニットとバッフ
ル板の間にガスケットを入れ締め付けていると思いますが、この方法では、上記の不要振
動を抑えることは容易なことではないと考えられます。

ユニットで起きている不要振動対策として、ユニットを鉛のインゴット+柱のような質量の大
きい素材に強固に磁気回路側で固定することで、ユニット自体の不要振動を抑えられるの
ではないかと考えます。

ユニットのフレームフランジ側をバッフル板の気密性を保ちつつ、フレームがぶれないよう
保持し、エンクロージャーからの不要振動が伝わりにくい素材(防振、制振)でユニットのフ
レームフランジ部分を挟み込んでマウントすると良いのではないかと考えます。

さらに、フレームフランジ部分自体の質量のアップを図ることで、エッジ側で起きている不要
振動を抑えることが出来るのではないかと考えられますが、今回の「スパイス2.11」では、
フレームフランジ部分の質量アップは行っていません。

*補足・・・・・スピーカーユニットのフレームがアルミ製のものや磁気回路が大きいユニット
        は、ユニット自体の質量があるので不要振動を抑えるのに適した構造です。

この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3で・・・・・


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