2011年8月16日火曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4

 スパイス2.11のエンクロージャーの剛性と材質 



*エンクロージャーの材質

 「スパイス2.11」のエンクロージャーパネルの材質には、外部を厚さ12mmのラワン合板を上張りに、内部を厚さ9.5mmの石膏ボードを下張りに、それらを接着剤で貼り合せ厚さ21.5mmの合材化にしました。


「スパイス2.11」密閉型2Wayエンクロージャー内部


 石膏ボードメーカーの吉野石膏のスーパータイガーボードの遮音性についての文章中に、

「・・・・従来のせっこうボードのみを用いた遮壁に対して、さらに壁面の重量を大きくる
と、よび上張りと下張りの材料に異なる種の材料を用いることによって、よりい
っそう遮音性を向上させることができるということが、当社総合性能試験センターでの
基礎実験によって明らかになりました。」 【引用】


 エンクロージャーパネルの材質を上文のような遮音壁と同じように複合材化することで、同じ厚さの合板を単体で使用する場合より、遮音性能が向上することでエンクロージャー内部の音をエンクロージャーの外に通しにくくなると考えられます。

 複合材化する、もしくは複合材をエンクロージャーの素材として用いることは、ユニットの背圧(定在波、音圧)よる影響で起こるエンクロージャーパネルの不要な共振(振動)を抑えるのに効果があると考えられます。

 それは俗によく言われる箱鳴りを抑えることになります。箱鳴りを抑えることで、再生音の分解能、音像定位の向上が見込めます。

 複合材は、「最も音の癖が少なく、作り方次第で無個性の音色、音質が聴ける良い材質」というような内容の記事がネット上にもあります。

 そして、エンクロージャーパネルからの不要な音(響き)を出さないようにすることは、スピーカー製作上、音質の向上を図る上で最も重要な要素だと考えます。

 材質には、極論を言えば固有の響き(音)を持たない材質が最適を考えますが、しかし、それは現実上不可能なようです。

 エンクロージャーパネルに適した材質の条件は、「遮音性能に優れ、固有の響きが少ない(癖が少ない)、できれば持たない。」ことが要求されると考えます。

エンクロージャー(スピーカーは楽器ではない。)にとって「響き」は、不要な付帯音(歪)あり、正しいかどうかわかりませんが時間歪をも、もたらすのではないかと考えます。


*エンクロージャー使用されている合板比重


主なエンクロージャー材料の比重

 「スパイス2.11」の材質の項で述べましたが、上張りには、厚さ12mm、比重0.6のラワ、下張りに厚さ9.5mm、比重0.67のタイーボード(石膏ボード)を貼り合せてエンクロージャーのパネルとして使用しました。

 当初は、遮音性能の向上を図る為、エンクロージャーパネルの重量を上げる為に下張りに1.2のスーパータイガーボードを使いたかったのですが、ホームセンターに見当たらなかったので、倉庫に寝ていた3×8サイズ、厚さ9.5mmと12.5mm比重0.67のタイガーボードのうち、今回はテスト作ということもあり9.5mmのタイガーボードを使うことにしました。

 タイガーボードは、合板に比べ価格が安価であることからも使用価値があるとも考え、合板で最も安価なコンパネと、1.2のスーパータイガーボードの組み合わせでエンクロージャーを製作するのも、一考と思います。

 使用した結果、 「スパイス2.11」の、トップパネル、ボトムパネル、バッフル下パネルでは、大音量時でも、「箱鳴り」共振による不要振動を各パネルを手で触れてみても感じることができず、全く問題のないレベルでした。

 L、Rサイドパネルの面積が大きいためか、不要振動が若干発生ていました。ただ、一般的なテレビを観る時の音量程度ですと不要振動を感じることができませんでした。

この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5で・・・・・

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2011年7月18日月曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3

 フルレンジユニットのマウント方法 


密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2からの続きです。

 ユニットの磁気回路側に鉛のインゴットを取り付け、磁気回路側でバッフルにユニットをマウントると、間違いなく磁気回路部分の不要振動が減少(抑えられる)します。それにより、ユニットの再生音帯域の音質が向上します。

 「スパイク2.11」の図面を製図している時点で、ウー
ハーのマウントの仕方で音質が向上することに気付
いていませんでしたので、密閉型2Wayスピーカー
製作した鉛インゴット
「スパイス2.11」~1にある図面には、鉛のインゴット
を取り付けるように製図されていません。

 そこで、直径7.5cm厚さ2.1cm重量約1kgのの
鉛のインゴットを作り、ナットを磁気回路後部に接
着し、ボルトで鉛のインゴットをユニットに取り付け
テスト試聴を行いました。

 ユニットに鉛のインゴットを付ける前と付けた後の
音質の変化は、磁気回路の不要振動が減少した
ことにより再生音帯域の分解能と過渡応答が向上
したようで、全体的によりクリアーな音質になった
ように聴き取れます。
鉛のインゴットを取り付けところ


 特に低音域の音質は、バスレフ型スピーカーと密
閉型スピーカー低音域の音質の違いを「密閉型は
バスレフ型に比べ低音が締まった音に聴こえる。」
と評価されるように、鉛のインゴットを付け磁気回
路側でマウントすると低音域が締まったように聴こ
える。

 鉛のインゴットなしとありの状態で何度も比較試聴
を行った結果、音質は、明らかに良くなることが確
認できました。

 今回の鉛のインゴットは、1kgでしたが1.5~2kg
と重量を増すと更に効果が上がるのではないかと
思われる。

 クロスオーバー周波数 



ツィーターの内部

 ツィーターの内部の配線は、カナレのスピーカーケーブル 4S8を使用しました。

 ハイ パスフィルターは、フイルムコンデンサー2.2μF、1個による-6dB/octし、フルレンジユニットは、コイルを入れずにアンプとダイレクトに接続しています。

 塗装は、大変な作業 


塗装下地調整
今回のスピーカー製作行程で、最も時間を費や
したのが塗装作業。

 当初はスピーカーの全面をオールブラックの鏡
面塗装もどきを思い描き、下地調整のサンディ
ング、中塗りを終えてサンディングを重ねました
が、素材ががラワン合板のためか、なかなかフ
ラットになってくれません。

サーフェサーを何本も使ってしまった。

 中塗りの缶スプレー塗料がエナメルの安いも
のだったため塗装の硬化が遅く、さらい時間
が費やしてしまった。

 あまりにも時間がかかり過ぎるので、エンクロ
ージャーのサイドパネルを木目調の壁紙を貼
りクリアー塗装仕上げとし、ホーンバッフルと
トップパネルは、黒の上塗りとクリアー塗装仕
上げとし、ボトムパネルは黒のつや消し塗装
仕上げに変更しました。

ホーンツィーターについても、同様の仕上げに。

・・・・・・・・・塗装は、経験と根気が必要であると痛感した次第です。


この続きは、密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4で・・・・・


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