2011年12月11日日曜日

密閉型フルレンジ一発スピーカー製作

  フルレンジ一発の特徴  



 フルレンジ一発とは、1個のフルレンジ型ユニットを使って、人間の可聴域およそ20Hz~20kHz内の領域を再生しようとするスピーカーシステムのことです。


 このフルレンジ一発では、超低音域から超高音域までの高忠実度再生は不可能。しかし、パーソナルな耳あたりの良い「いい音」と感じる感性レベルの音質を追求するなら、フルレンジ一発でも良いモノがあると思います。


 フルレンジ型ユニットの特性と密閉型エンクロージャーの特徴を踏まえ、エンクロージャーの構造や形状、スピーカーのセッテイング、ユニットのチューニングをトータルに考え、スピーカーシステムの設計に反映させることで、耳あたりの良い「いい音」と聴けるような音にまとめ上げてことは、出来ると考えます。


 言い方を代えると、フルレンジ一発の音としては、「上等。よく出来た音。うるさくない。ちょっとした2Wayや3Way(LCネットワーク方式)の音質を凌ぐ。」いい音は、期待できると考えます。


でも、くどいようですが超低音域から超高音域までの高忠実度再生は、1個のユニットでは不可能と思います。


 まずは、フルレンジユニットならびにそれを使ったスピーカーシステムのメリットとデメリットを取り上げます。


 フルレンジ型のメッリトとデメリット 



【メリット】

全帯域の音(フルレンジの音)が一箇所の音源から放射されるため、点音源となる。ただし、密閉型のみとなります。


音楽で重要な100Hz~4kHz帯域の位相の変化がなめらかなのでステレオ再生での定位感が良く、加えて、再生音のボーカルが自然な感じで聴こえる。


LCネットワーク、アッテネーターが不要なため、音声電気信号の劣化が無いので、それによる音質の劣化が無い。

コストパフォーマンスに優れている。


【デメリット】

再生可能領域が狭い。ユニットの口径にもよりますが、再生帯域50Hz~18kHz位。

低音域限界付近は混変調周波数歪、中高音から高音域付近は分割振動による歪が増加するためユニットの口径と性能によって、うるさく感じるモノもある。 

高域の指向特性がわるい。


【フルレンジ一発の最大のメリット】


 このブログにあるスピーカー(ユニット)の鳴らし方になること、位相の変化がなめらかなこと、コストパフォーマンスに優れていることが挙げられる。


【フルレンジ一発の最大のデメリット】


 中高音から高音域付近で分割振動で起きる歪で音圧にピーク、ディップが起きている。更に、小口径ユニットは、原理的に低音再生時に振動板の振幅が大きくなるため、中高音がドップラー効果により周波数振幅変調歪が起きていること。


 このようなことからフルンジユニットごとの特有の音質(癖とも言うべき)に成りがちになることが挙げられる。


  密閉型でフルレンジ一発を鳴らす  



 20cm以下の小口径ユニットをマウントした密閉型スピーカーでは、低音域の特に100Hz以下の音圧が得にくく、これがデメリットの一つでもあり、最大の欠点です。ここをどのようにクリアするかが課題です。


 そして、口径が大きく成るにしたがって高音域の質とクオリティーが落ちる。その解決策を考えてみました。


1、コーナーセッティッグ

 スピーカーシステムは、リスニングルーム内のセッティッグの仕方で再生音の響き方や低音の聴こえ方が変わる。スピーカーを部屋のコーナーにセッティッグし低音域の量感を得る。ただ、音がこもり気味に聴こえるようであるが、エンクロージャー形状で解決できる。


2、アンプのトーンコントロールの活用
  
アンプのトーンコントロールやラウドネルもしくはイコライザーで高音と低音の補正を行う。


3、ユニットのチューニング
  
 低音帯域の拡大と分割振動の影響による中高音~高音域の暴れを抑えるための、ユニットのメカニカルチューニングをすることで、音の分解能向上が可能になる。


4、ユニットのマウントの仕方
  
ユニットのバッフルへのマウントの仕方で、音質(音の分解能)が向上する。


  ユニットの選定  



 フルレンジ一発(1Way)スピーカーシステムに使用されているフルレンジユニットの口径は、8cm~20cmまでが中心です。ユニットの種類は、シングルコーン型と高域特性を補うため、中心に小さなコーンを付けたメカニカル2ウェイのダブルコーン型があります。


また、俗に「ロクハン」呼ばれる16cm口径と20cm口径は、高低間の「音のバランスが良い」と言われています。
20cmフルレンジユニット


 国内では、ダイヤトーンのP-610やパイオニアのPE-16などが名機と呼ばれ、スピーカー自作派の方々に長きに渡り愛用され、今も人気があり、その影響なのか、16cmユニットが主流のようです。


海外では20cmユニットが主流です。


 フルレンジユニット1個で密閉型スピーカーを製作するにあたり、80Hz~200Hzまでの低音域の音の質、音響的エネルギー量(空間のリアル感)を考えると、フルレンジ型であっても25cm(10インチ)口径を使った方が良いのではないかとも考えます。


しかし、中高音~高音域の分割振動の影響による歪量が懸念されますので、10インチ口径のフルレンジユニットの特性と音質を調べてからと思っています。


 1インチのボイスコイルを使ったダブルコーン型10インチであれば、ロクハン等の高音域の特性と比べても遜色はないとも・・・・・? 


 今回の密閉型フルレンジ一発スピーカー製作では、低音から高音域間の音の出方のバランスが良いとされる日本的フルレンジの王道、「ロクハン」16cmユニットを使って考案します。


本当にロクハンは、「低音~高音域間の音の出方のバランスが良いのか?」


P[007]


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2011年10月31日月曜日

密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5

 密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」完成 


密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4からの続きです。






密閉型2Way「スパイス2.11」をTVに接続


 9月上旬に、「スパイス2.11」が完成しました.。そこで液晶テレビの背面にトグルスイッチとスピーカー接続用の音声出力ターミナルを取り付け、テレビ内臓のアンプで「スパイス2.11」を鳴らすように改造しました。

 これにより液晶テレビ付属のリモコンでスピーカーの音量調節が可能となり、液晶テレビで様々なスピーカーシステムが試聴可能としました。

 テレビ内臓のアンプ(シングルアンプ)はけして性能が良いとは思いませんが、ブルーレイレコーダーでCDが再生できるの、スピーカーシステムの試聴とテストを繰り返すのには打って付けです。

ただし、シングルアンプの場合ですと、2Wayか1Way(フルレンジ一発)のまでのスピーカーシステムで鳴らすのが最適と考えています。

 それは、スピーカーユニットの鳴らし方の観点からと。そして、シングルアンプで鳴らすマルチウェイ方式では、フルレンジの音声電気信号をLCネットワークで分割しますので、音声電気信号回路にコイルとコンデンサーを入ることで電圧と電流の位相差が起こるなど、弊害があるからです。

 スピーカーユニットのインピーダンスは、入力周波数に対して一定ではなく、その値が変化することで設計上クロスオーバー周波数は一定ならないこと。

そして、スピーカーユニット数が増えると、LCネットワークによるクロスオーバー周波数ポイントも当然増えますので、電圧と電流の位相差によりユニット間のタイムアライメント合わせが容易ではない、という問題があるからです。

 スラント(傾斜)式スタンディング 



密閉型2Way、スラント方式

  エンクロージャーの脚は、三点支持とし、画像では
  判りにくいのですがエンクロージャーのトップパネル
  面とスピーカーを設置しているフローリングの面は平
  行で、トップパネル面は水平を保たせています。

   これによりトップパネルに置かれたホーンツィータ 
  ーは水平方向に音を放射します。

   加えて、エンクロージャーを後方に5度スラント(傾
  斜)させてスタンディングさせることで、ホーンツィータ
  ーの放射音とフルレンジの放射音の空間合成をスム
  ーズになります。

   また、エンクロージャーをスラント(傾斜)させること
  で、前方方向への音飛びが良くなる為、音場の奥行感
  を出すのに一役かっています。

   更に「スパイス2.11」では、ユニット間のタイムアライ
  メントに配慮したフリー配置型(前後に移動可能)ホー
  ンツィーターとしています。



 「スパイク2.11」の音質のスケールやリアル感 


 「スパイク2.11」の再生音は、密閉型スピーカーの特徴の低音域の締まり、ホーンバッフルの指向性のコントロールにより中高音張り出しもあり、そして、フルレンジユニットの接続端子からアンプまでの間にはスピーカーケーブル(その間の直流抵抗値を下げるためターミナル端子なし)しかありませんので電磁制動(ダンピング)の利いた、なかない良い音ではないかと主観ですが感じます。

しかし、フルレンジユニットの口径が小径のため、再生音から聴こえる楽器のスケール感とリアル感は、今一歩も百歩も後退しているかのようです。


 でも、メリハリのある好みの音質です・・・・・


 「スパイス2.11」のは14cmのフルレンジ小径ユニットなので、・・・そもそも、生の楽器(太鼓)が発する音(疎密波)の体積量とスピーカーユニットの振動板が発する音(疎密波)の体積量が、あまりにもかけ離れ過ぎていて量的差があるからでしょう。


 やはり、低音域の再生には、口径の大きいスピーカーユニットの方が適しているのではないでしょうか。

 今後の予定は、フルレンジユニット一発(1Way)仕様、コーナーセッティング型密閉スピ
カーシステム製作に取り組もう考えてます。

P[006]


 関連コンテンツ 


密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~1>>密閉型スピーカー製作に初挑戦
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~2>>密閉型2Wayスピーカーのフルレンジ
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~3>>フルレンジユニットのマウント方法
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~4>>エンクロージャーの剛性と材質
密閉型2Wayスピーカー「スパイス2.11」~5>>密閉型2Wayスピーカースパイス